マダニと聞くと、「山奥にいるやつでしょ?」と思うかもしれません。
でも実際は、もっと生活圏に近いところにいます。畑、あぜ道、裏庭、民家の裏山、犬の散歩で通る草むら。つまり、アウトドア好きだけの話ではありません。
小さいのに、油断するとかなり厄介。マダニはただ血を吸うだけでなく、SFTSなどの感染症を運ぶことがあります。
マダニはどこにいる?
マダニが多いのは、シカ、イノシシ、野ウサギなどの野生動物が出る場所です。
ただし、「野生動物がいる場所」と聞いても、遠い山だけを想像しないでください。民家の裏山、裏庭、畑、草むら、あぜ道にもいます。
特に注意したいのはこんな場所です。
- 草むら
- やぶ
- 山林
- 畑や農道
- あぜ道
- 民家の裏庭、裏山
- 河川敷
- キャンプ場
- 犬や猫が入る草地
マダニは上から飛んでくるわけではなく、草の先などで待ち伏せしています。そこに人や動物が通ると、服や皮膚にくっつく。静かな待ち伏せ型です。地味に怖い。
どの地方に多い?
SFTSの報告は、これまで西日本が中心です。
国立健康危機管理研究機構の2026年4月30日現在の資料では、SFTSの推定感染地域として多い県に、宮崎県、長崎県、高知県、山口県、広島県、鹿児島県、大分県、島根県、熊本県などが挙がっています。
特に中国・四国・九州地方は注意度が高めです。
ただし、ここで大事なのは「西日本だけの病気」と思わないこと。近年は、神奈川県、茨城県、北海道などを推定感染地域とする報告も出ています。つまり、全国どこでも「草むらに入るなら対策」が基本です。
発症率はどれくらい?
ここは少し正確に言う必要があります。
「マダニに刺された人の何%がSFTSを発症するか」という全国共通のはっきりした数字はありません。理由は、すべてのマダニがウイルスを持っているわけではなく、地域、マダニの種類、刺された時間、体調などでリスクが変わるからです。
ただ、SFTSそのものの届出数は増えています。2026年4月30日現在、日本では2013年以降に1,273例が届け出られています。患者の年齢中央値は75歳で、60代以上に多い傾向があります。
日常生活だけならリスクは低めと考えられていますが、春から秋に草むらや山林、畑に入る人は注意が必要です。
致命率は?
SFTSは「めったにないけど、かかると重いことがある」タイプの感染症です。
2026年4月30日現在の届出では、1,273例中132例が届出時点で死亡例として報告されています。単純計算では約10.4%です。
ただし、この数字には届出後に亡くなったケースが含まれていない可能性があります。別の国内報告では致命率27%とされる資料もあり、見方によって数字に幅があります。
ざっくり言えば、「刺されたら必ず危ない」ではありません。でも「発症したら軽く見ていい病気ではない」です。
皮膚にマダニが付いていたらどうする?
ここがいちばん大事です。
皮膚にマダニが食いついているのを見つけても、無理に引っ張ってはいけません。
マダニは皮膚にしっかり口を差し込んで吸血します。無理に取ると、口の部分が皮膚に残って化膿したり、マダニの体液が逆流して感染リスクを高めたりするおそれがあります。
やることはシンプルです。
- つまんで引き抜かない
- 潰さない
- 触った手で目や口を触らない
- 皮膚科など医療機関で取ってもらう
- その後、数週間は体調を見る
「ちょっと虫が付いてるだけ」と思って自力で処理したくなりますが、ここは病院案件です。
刺された後に見るべき症状
刺されたあと、すぐに何もなければ安心……とは言い切れません。SFTSの潜伏期間はおおむね6日から14日ほどとされています。
数週間は、次の症状に注意してください。
- 発熱
- 強いだるさ
- 食欲不振
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 頭痛
- 意識がぼんやりする
- 出血しやすい、あざが出る
発熱やだるさが出たら、受診時に「マダニに刺されたかもしれない」と必ず伝えましょう。これを言うかどうかで、医師の見立てが変わります。
防止策は「肌を出さない」が最強
マダニ対策の基本は、虫よけより先に服装です。
草むらや畑に入る日は、長袖、長ズボン、足を覆う靴。ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる。首にはタオル。手袋もあると安心です。
服は明るい色がおすすめです。マダニが付いたときに見つけやすいからです。
虫よけ剤は、ディートやイカリジンを含むものがマダニ対策に使われます。ただし、虫よけだけで完全防御はできません。服装、帰宅後チェック、入浴までセットで考えましょう。
まとめ
マダニは、山奥だけでなく、畑、庭、草むら、犬の散歩コースにもいます。
SFTSの報告は西日本に多いものの、近年は東日本や北海道でも推定感染地域の報告があります。発症自体はまれでも、発症した場合は重症化や死亡の可能性があるため、軽く見ないことが大切です。
皮膚に付いていたら、自分で引き抜かない。皮膚科で取ってもらう。刺された後は数週間、体調をチェックする。
マダニ対策は、怖がるより「草むらに入る前のひと手間」です。長袖、長ズボン、明るい服、帰宅後チェック。この地味なセットが、かなり効きます。
参考:
厚生労働省「ダニ媒介感染症」
国立健康危機管理研究機構「SFTS症例の概要 2026年4月30日現在」
国立健康危機管理研究機構「マダニ対策、今できること」


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