外出・レジャー事故

離岸流は気づいた時には沖にいる。湾のように凹んだ海岸で流される危険

外出・レジャー事故

海で遊んでいて岸を振り返ると、荷物や家族が思っていたより遠くに見える。

岸へ向かって泳いでいるのに、なぜか距離が縮まらない。

このとき、すでに離岸流によって沖へ運ばれている可能性があります。

離岸流の怖さは、激しく引っ張られることだけではありません。本人が流されていると気づかないまま、足が届かない場所まで運ばれることです。

30秒で分かる結論

離岸流とは、岸へ打ち寄せた海水が、一か所に集まって沖へ戻る流れです。

特に注意したいのが、海岸線が湾のように陸側へ凹んだ場所、周囲より波が砕けていない場所、防波堤や岩場の周辺です。

海へ入る前に、建物や旗など岸の目印を決めてください。位置が横へずれたり、岸が急に遠く見えたりしたら、すぐに海から上がります。

流された場合は岸へ一直線に泳ぎ続けず、助けを求めながら浮き、可能であれば岸と平行に移動して流れから外れます。

検証動画で見る、離岸流の速さ

次の動画では、海上保安本部の立ち会いのもと、記者がライフジャケットを着用して離岸流を体験しています。

検証では、記者が約30メートルを10秒ほどで流されました。

すべての離岸流が同じ速さではありませんが、流れが強い場所では、泳いでいる本人が異変を理解する前に岸から離される可能性があります。

「少し沖へ移動しただけ」と思っている間にも、岸との距離は急速に広がることがあります。

離岸流は岸に集まった水の出口

沖から波が押し寄せると、大量の海水が岸付近へ運ばれます。その水は、再び沖へ戻らなければなりません。

岸付近の海水が、海底の深い場所や砂の切れ目などに集まると、沖へ向かう細い流れができます。これが離岸流です。

離岸流の仕組み。岸付近の水が一か所に集まり、沖へ流れ出す
出典: 第一管区海上保安本部「離岸流とは」

離岸流は、海岸線のすべての場所から均等に沖へ流れるわけではありません。

幅が比較的狭いため、離岸流の中にいる人だけが沖へ運ばれ、少し離れた場所では普通に波が岸へ向かっていることもあります。

湾のように海岸線が凹んだ場所に注意

湾の中だから、外海より安全とは限りません。

特に注意したいのは、湾全体というよりも、波打ち際の線が陸側へ大きく湾曲している場所です。

海底の一部が周囲より深くなっていると、岸付近の水がそこへ集まり、沖へ流れる通り道になることがあります。

さらに、沿岸方向の流れによって横へ運ばれた後、離岸流の発生場所へ入り、そこから沖へ流される場合もあります。

そのため、本人は最初から沖へ引っ張られたとは感じず、気づいた時には入水した場所から大きく離れていることがあります。

波が少ない場所が安全とは限らない

離岸流が発生している場所では、周囲より水深が深く、波が砕けにくいことがあります。

周囲に白い波が立っているのに、一部分だけ波が少なく穏やかに見える場合、そこが沖へ水が戻る通り道になっている可能性があります。

砂浜で発生している離岸流。波の切れ目から沖へ向かう流れが確認できる
出典: 海上保安庁・銚子海上保安部「離岸流について」

「波がなくて泳ぎやすそう」と感じる場所ほど、周囲との違いを確認してください。

離岸流が疑われる海のサイン

  • 周囲では波が砕けているのに、そこだけ波が少ない
  • 波打ち際が陸側へ大きく凹んでいる
  • 泡、海藻、ゴミが沖方向へ動いている
  • 一部分だけ海水が濁っている
  • 周囲より海の色が濃く、深く見える
  • 防波堤、突堤、岩場、消波ブロックの近く

ただし、離岸流は必ず目で見分けられるとは限りません。

以前は安全だった場所でも、波、潮位、風、海底の形が変われば、離岸流の場所や強さも変化します。

岸の目印で移動に早く気づく

海へ入る前に、海の家、旗、階段、建物、目立つ木など、岸にある動かない物を一つ決めてください。

海で遊んでいる間も、数分おきに目印を確認します。

  • 目印が横へ大きく移動して見える
  • 岸や人が急に小さく見える
  • 岸へ歩いているのに近づかない
  • 急に海底が深くなり、足が届かなくなる

このような変化があれば、そのまま遊び続けず、早めに岸へ戻ってください。

流されたら岸へ一直線に泳がない

沖へ流されていると気づくと、多くの人は慌てて岸へ向かって泳ぎます。

しかし、離岸流の中で岸へ一直線に泳ぐ行為は、沖向きの流れに正面から逆らうことになります。

泳いでも岸へ近づけず、呼吸が乱れ、体力を失う危険があります。

  1. 慌てず、浮いて呼吸を整える
  2. 片手を上げて大声で助けを求める
  3. 岸へ一直線に泳ぎ続けない
  4. 可能なら岸と平行に移動する
  5. 沖向きの流れが弱くなってから岸を目指す

泳ぎに自信がない場合や、すでに疲れている場合は、無理に泳がず、浮き輪やライフジャケットにつかまって救助を待ちます。

岸にいる人が泳いで助けに行くのも危険

流された人を発見しても、浮力体を持たずに泳いで助けに向かってはいけません。

助けに向かった人まで離岸流に巻き込まれ、複数人が溺れるおそれがあります。

  • ライフセーバーや監視員へ知らせる
  • 119番または海上保安庁の118番へ通報する
  • 浮き輪や救命浮環など、浮く物を投げ渡す
  • 流された人の位置を見失わない
  • 装備なしで海へ入らない

まとめ

離岸流の本当の怖さは、激しい流れがはっきり見えることではありません。

湾のように海岸線が凹んだ場所や、波が一部分だけ途切れている場所で、本人が気づかないまま沖へ運ばれることです。

海へ入る前に岸の目印を決め、位置が変わっていないか定期的に確認してください。

流された場合は、岸へ一直線に泳ぎ続けず、助けを求めながら浮き、可能であれば岸と平行に移動して離岸流から外れます。

参考資料

コメント

タイトルとURLをコピーしました