季節の危険

夏の車内に置いてはいけない物。スプレー缶やライターが破裂する危険

季節の危険

夏の外出時、制汗スプレーや冷却スプレー、虫よけスプレーを車に積み、そのまま置き忘れてしまうことがあります。

しかし、真夏の駐車中の車内は非常に高温になります。スプレー缶やガス式ライターを放置すると、容器の内部圧力が高まり、破裂、ガス漏れ、火災につながる可能性があります。

「少しの時間だけ」「日陰に止めた」「トランクに入れた」という場合でも、安全とは限りません。

30秒で分かる結論

夏の車内には、スプレー缶、ガス式ライター、カセットボンベなどを置いたままにしないでください。

高温になると容器の内圧が上昇し、破裂したり、可燃性ガスが漏れたりする危険があります。

車内に置き忘れた場合

  • 煙、異音、缶の変形、強いガス臭がないか車外から確認する
  • 異常がある場合は、ドアを開けたり容器に触れたりしない
  • たばこ、ライター、火気を近づけない
  • 危険を感じたら車から離れ、119番へ通報する
  • 異常がない場合でも、十分に換気して冷えるまで使用しない

この記事の内容

夏の車内に置いてはいけない物

特に注意が必要なのは、内部にガスや可燃性の液体が入っている製品です。

製品 主な危険
制汗スプレー 高温による破裂、可燃性ガスへの引火
冷却スプレー 容器の破裂、漏れたガスへの引火
殺虫剤・虫よけスプレー 破裂、ガス漏れ、火災
日焼け止めスプレー 容器の変形や破裂
ヘアスプレー 破裂、噴射剤への引火
塗料・クリーナー類 破裂、可燃性成分への引火
使い捨てライター ガス漏れ、破裂、発火
カセットボンベ 内圧上昇による破裂、火災
キャンプ用ガス缶 破裂、ガス漏れ、車両火災

多くのスプレー缶には、容器に「高温に注意」「40℃以上になる場所に置かない」といった注意表示があります。

真夏の車内は、この保管温度を大きく超える可能性があります。

真夏の車内は何℃まで上がるのか

JAFは、外気温35℃の炎天下で、駐車条件の異なる車5台の車内温度を測定しています。

対策をしていない黒い車では、車内温度が最高57℃、ダッシュボード付近が最高79℃に達しました。

白い車でも車内は最高52℃、サンシェードを使用した車でも最高50℃でした。

窓を3cm開けた車でも車内は最高45℃、ダッシュボード付近は75℃に達しています。

真夏の車内温度とダッシュボード温度を対策別に比較したグラフ

JAFの実験では、対策なしの黒い車で車内最高57℃、ダッシュボード最高79℃を記録した。出典:JAF「真夏の車内温度」の公表値をもとに作成

サンシェードや少しの窓開けでは、スプレー缶やライターを安全に保管できる温度にはなりません。

JAFによる車内温度の検証動画

真夏の車内温度を比較した実験

出典:一般社団法人日本自動車連盟(JAF)

なぜスプレー缶は高温になると破裂するのか

スプレー缶の中には、内容液とともに液化石油ガスなどの噴射剤が、圧力のかかった状態で封入されています。

周囲の温度が上がると、内部のガスが膨張して、缶の内圧も高くなります。

容器が圧力に耐えられなくなると、缶の底や口金部分が外れたり、缶自体が裂けたりする可能性があります。

危険なのは、単に中身が飛び散ることだけではありません。

  • 缶や口金が勢いよく飛ぶ
  • 窓ガラスや車内の天井を破損する
  • 人に当たり、けがをさせる
  • 可燃性ガスが車内に充満する
  • 火気や電気火花で引火する
  • 車両火災につながる

特に、古くなった缶、さびた缶、へこんだ缶、傷のある缶は、容器が弱くなっている可能性があります。

消防局の実験では72.9℃で破裂

上越地域消防局は、スプレー缶を直接火であぶるのではなく、専用の箱の中の空間を徐々に加熱する実験を行っています。

実験では、購入から数年が経過した制汗スプレーを使用しました。

箱の中が60℃程度になると、缶の底が膨らんで横揺れを始め、最終的に72.9℃で破裂しました。

破裂時には大きな火炎が上がり、飛んだ口金が防炎シートを貫通して、コンクリート製の天井に痕跡を残しています。

72.9℃まで安全という意味ではありません

これは特定の古いスプレー缶を使った一度の実験結果です。缶の種類、中身、劣化、さび、傷、へこみなどによって、破裂する条件は異なります。製品の注意表示に従い、40℃以上になる場所には置かないでください。

スプレー缶の破裂温度を調べた実験

出典:上越地域消防局公式YouTubeチャンネル

危険なため、自分で実験しないでください

スプレー缶を火であぶる、熱湯に入れる、暖房器具の前に置く、炎天下の車内に放置するといった行為は非常に危険です。

実際に起きた車内での事故

スプレー缶が車内の天井に突き刺さった

NITEは、自動車の荷物スペースに置いていたスプレー缶が破裂し、車内の天井に突き刺さった事故を紹介しています。

直射日光などによってスプレー缶が高温となり、上昇した内圧に容器が耐えられなくなったと考えられています。

トランクや荷物スペースに入れても、安全とは限りません。

車内に置いたライターが爆発した

消費者庁には、午前9時ごろから午後1時ごろまで車内に置いていたライターが爆発した事故が報告されています。

ほかにも、景品でもらったライターを車内に置いて買い物をした後、車に戻ると車内が焦げたり、溶けたりしていた事例があります。

使い捨てライターには、可燃性の高圧ガスが入っています。高温や直射日光によって、破裂や火災につながる可能性があります。

ライターは隙間に落ちても危険

ライターは、高温による破裂だけに注意すればよいわけではありません。

シートのレール、ハンドル調整部分、センターコンソールなどの隙間に落ちると、可動部分に挟まれて着火ボタンが押される可能性があります。

消費者庁には、ハンドルの高さを調節した際、隙間に落ちていたライターの着火ボタンが押され、出火した事故も報告されています。

次の場所にはライターを置かないようにしましょう。

  • ダッシュボード
  • ドリンクホルダー
  • 運転席や助手席の足元
  • シートの上やシートの隙間
  • ハンドルの周辺
  • ドアポケット
  • センターコンソール

車内でスプレーを噴射することも危険

高温の車内へ放置するだけでなく、密閉された車内でスプレーを大量に使用することにも注意が必要です。

多くのスプレー缶には、LPGなどの可燃性ガスが使用されています。

車内で制汗スプレーや冷却スプレーなどを噴射した後、ライターやたばこを使用すると、空気中に残ったガスへ引火する可能性があります。

ガスは、たばこやライターの炎だけでなく、電化製品やスイッチなどから生じる小さな火花でも引火することがあります。

スプレー製品は、製品の注意表示を確認し、火気のない風通しのよい場所で使用してください。

車内に置き忘れたことに気づいたら

まず車外から状態を確認する

すぐに車へ乗り込んだり、容器を手に取ったりせず、窓越しに状態を確認します。

次のような異常がある場合は注意が必要です。

  • 缶の底や側面が膨らんでいる
  • 容器が変形している
  • シューという音が聞こえる
  • 車の周囲でも強いガス臭がする
  • 中身や液体が漏れている
  • 煙が出ている
  • 容器がすでに破裂している

煙、異音、ガス臭がある場合

異常がある場合は、ドアを開けたり、エンジンをかけたり、電装品を操作したりしないでください。

たばこやライターなどの火気を近づけず、車から離れます。

煙が出ている、強いガス臭がする、破裂しそうな音がするなど、危険を感じる場合は119番へ通報してください。

外見上の異常がない場合

外見上の異常やガス臭がない場合でも、高温になったスプレー缶やライターをすぐに使用しないでください。

  1. 火気を近づけない
  2. 車外からドアを開けて十分に換気する
  3. 車内温度が下がるまで待つ
  4. 製品が十分に冷えるまで触らない
  5. 冷えた後に変形、さび、漏れがないか確認する

変形やガス漏れが疑われる場合は使用せず、製造元または自治体へ処分方法を相談してください。

車内温度を早く下げれば、そのまま使える?

エアコンで車内を冷やしたとしても、スプレー缶やライター自体がすぐに冷えるとは限りません。

特にダッシュボードの上にあった製品は、容器が高温になっている可能性があります。

変形、異臭、液漏れ、さびなどがある製品は使用しないでください。

見た目に問題がなくても、製品の使用上の注意を確認し、不安がある場合は製造元へ相談しましょう。

車内への置き忘れを防ぐ方法

降車時に確認する場所を決める

車を降りる前に、次の場所を毎回確認する習慣をつけましょう。

  • ダッシュボード
  • ドリンクホルダー
  • ドアポケット
  • センターコンソール
  • 座席の上と下
  • シートの隙間
  • トランクや荷物スペース

車内の常備品にしない

制汗スプレー、殺虫剤、冷却スプレーなどを車内に常備すると、降ろし忘れる可能性が高くなります。

必要な日にバッグへ入れて持ち運び、使用後は屋内の涼しい場所へ戻す方法が安全です。

目立つ袋にまとめる

キャンプや海水浴などで複数のスプレー缶やガス缶を持ち運ぶ場合は、目立つ袋にまとめておきます。

ただし、保冷バッグや収納ケースに入れた場合でも、車内へ放置してよいわけではありません。

家族で声をかけ合う

家族で車を使用する場合は、降車時に「スプレー、ライター、ガス缶はないか」と声をかけ合うことで置き忘れを減らせます。

不要なスプレー缶の捨て方

不要になったスプレー缶を、処分するまで車内に保管するのは危険です。

廃棄方法は自治体によって異なります。必ず住んでいる自治体のルールを確認してください。

  • 製品に記載された方法を確認する
  • 自治体の分別方法に従う
  • 中身が残ったまま自己判断で穴を開けない
  • 室内や車内でガス抜きをしない
  • 使い切れない場合は自治体へ相談する

中身を出すよう自治体から案内されている場合は、製品表示に従い、火気のない風通しのよい屋外で行います。

穴を開けるかどうかについても、自治体によってルールが異なるため、自己判断で行わないでください。

よくある疑問

数分の買い物なら置いたままでも大丈夫?

短時間でも安全とは言い切れません。

車内やダッシュボードの温度は、駐車後から上昇します。買い物が予定より長引くこともあるため、短時間でも持ち出してください。

日陰に駐車すれば大丈夫?

日陰でも気温や駐車時間によって車内温度は上昇します。また、時間の経過によって日なたになる可能性もあります。

日陰を保管場所として考えず、車を離れるときは持ち出しましょう。

窓を少し開ければ大丈夫?

窓を少し開けても、車内が高温になることを防げません。

JAFの実験では、窓を3cm開けた車でも車内最高45℃、ダッシュボード最高75℃に達しました。

トランクなら直射日光が当たらないので安全?

トランクや荷物スペースも安全な保管場所ではありません。

NITEには、荷物スペースに置かれていたスプレー缶が破裂し、車内の天井へ突き刺さった事故が報告されています。

空に近いスプレー缶なら大丈夫?

中身が少なくても、ガスや内容液が残っている可能性があります。

完全に空に見える場合でも、高温の車内には置かないでください。

保冷バッグに入れれば置いてもよい?

保冷バッグは温度上昇を一時的に遅らせるだけで、長時間安全な温度を維持できるとは限りません。

保冷バッグごと車外へ持ち出してください。

まとめ

真夏の車内は、想像以上の高温になります。

制汗スプレー、冷却スプレー、殺虫剤、ガス式ライター、カセットボンベなどを放置すると、容器の内圧が高まり、破裂やガス漏れ、火災につながる可能性があります。

「日陰」「短時間」「窓を少し開けた」「トランクに入れた」という条件でも、安全とは限りません。

車から降りるときは、ダッシュボード、ドリンクホルダー、ドアポケット、座席の下、トランクを確認し、スプレー缶やライターを必ず持ち出しましょう。

参考資料

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